こぶれ 2024年4月号
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         新聞に「きょうの一句」欄があり、毎朝読んでいます。二月でしたか。翌檜(あすなろ)に届かぬ卒寿枯野道選者の「翌檜の名は、明日は檜ひになろうに由来し、より高みを目指す翌檜にさえ及ばないまま卒寿を迎えたと己を卑下した句だが、実は芸術には多岐にわたり造詣が深い作者。枯れ野に花が咲いている」―という解説がとても気に入っています。作者・解説者とも知りません。なぜか。筆者には枯れ野に花は咲かないままでしょうと言う率直な気持ちがあるからです。散歩コースの山すそ付近から小川に沿って歩く。この流れが浦上川に合流、大海のゴールにたどりつく。行くつく先ですね。最近、一世を風びした萩本欽一さんのきと伊東四朗さんの放談。面白かった。老コメディアンが自然体が生き、好奇心も大切に生きると言い切っていましたが、さわやかなものです。嫌味なく〝翌檜〟の気配もありません。事を成した人の晩年に共通するキーワード。枯野道を素朴に歩くのを思い始め、これを楽しんでいます。若い頃、信長を討った明智光秀や中国の馬賊、平将門の乱など時代の梟雄、波乱に富んだ生き様、劇画チックなものが刺激があって……と思ったこともありましたが、やはり地に着いた歩き方が身の丈たに合っていると思っています。なんや新聞声欄の投書文と思われがちな気もしますが、春の陽気に免じてご容しゃを。たまにはいいものです。茨城の百十歳の女浪曲師さん、現役。こんなことをテレビで拝見。朝夕いや昼も納豆が食事。「安くてたんぱく質もあり体にもってこい」と。筆者もこれに同感し好きでなかった納豆を家人にお願いしています。微かかに花が匂うんですね。桜、梅で華ははもういい。枯野道の良さもこの辺にありそうです。〽辛こし夷咲く北国のオーオーオーを歌うこの地方出身の演歌歌手を思い浮かべます。ない。小こ手で鞠ま、小こ米ご花ば……か。しかし北国ではない。南国ナガサキの枯野道にもきっと咲く花がある。匂い嗅かぎに足をとめ一休み。人生の野に咲く蓮華草をじっくりながめてみたい。枯野道              2  け   な  りめな すぶ著・三軒茶屋ニコみどりの風

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