こぶれ 2023年10月号
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                   2長崎会長金子 「あなたは十八年もの長きにわたり雑多なゴミ捨て中に古びた感謝状。少年の主張長崎県大会に審査員として大会運営をとおして青少年健全育成に多大なご尽力をいただきました。ここにその功績をたたえ深く感謝の意を表します 平成十九年九月八日 県青年少年育成県民会議 原二郎」さんか。この二つをキーワードにしばし黙考。そう「少年の主張」は昭和54年の国際児童年を契機に始められ、中学生が日常生活の中で何を感じ何を考えているのか、また社会や世界への意見、未来への希望、提言を広く発表することで同世代の意識啓発、関心を深めるために開催しています。現在も続けられています。少々前書きが長くなりましたが、 その審査員を依頼され、新聞社職歴の報道部長、コラム担当の論説委員、編集局長そして専務時代の通算18年ですか。よくまあ……と。本来の仕事があったのに……未来を託す中学生諸君の意見に共感したのかも知れません。確か平成14年でしたか、県大会で優勝し全国大会に出場、ここで優勝し総理大臣賞を受けた島原市立第三中学校三年、西誠くんの「これから頑張るんだ」が鮮烈です。親がいなかった西くんが養護施設で育てられみんながお盆、正月に帰省。誰も呼んでくれない。腹が立ち「僕の親はどうしているんですか」と聞いても先生は無言。そうか親なし児ごかと施設から何度も逃走。が、心配している先生たちに「なんてバカなことをしているんだろう」と反省しきり。 「君は逃げても家はここしかないんだ。あすからがんばれ!」とそのたびに先生からさとされ、嬉しくなったのも事実。かったことも楽しく嬉しかったこと、心配かけたり迷惑ばかりかけたことなど反省しながらも、苦境を心のバネにしながら生きてきたことに気づきました。切々と素朴に自分の言葉を一言ずつかみしめての主張に会場がシーンとしていたのがよみがえります。そして西くんは「これからここでの生活を心のバネにしながら強く生きていこうと思います」。僕は父母に次の言葉を届けたい。 「もう、どうでもいい。父母なんて。僕は生きていくから。一歩、一歩、自分の夢をもって前進し続ける」と。父さん、母さん、聞こえましたか。西誠はここにいる。今、筆を走らせながら西くんの声が聞こえ、それに従って筆が走っています。感謝状はゴミ箱にポイッ。西誠くんの声は感謝状の代わりにずーっと心に残っていそうです。心に残る声 ⁈―18年。金子原二郎、当時の知事著・三軒茶屋ニコ13年間、施設で生活。とっても悲しみどりの風

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