こぶれ 2023年6月号
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今春ほど温かさを待ったことは、ありません。晩秋ごろから体調不良。例年のこと。心身が冷たくなりダウン。かかりつけ医、専門医などの診察も異常なし。何かの炎症作用と諦め、暖かくなる季節を待つのみです。長崎新聞の三月三十一日付けの第一紙面「こんな春 待っていた」の見出し。雲仙市国見町の桜並木の写真が紙面を飾っていました。素地のピンクに新聞名の題字。桃色に近いピンクが跳んでいます。「さくら版」の銘打ちも。ローカル面も幻想的にライトアップされた長崎市東町・八郎川の夜桜。大村市野岳湖公園の湖畔の花びら。東彼東彼杵町やすらぎの里の春の薫りなどなど。乀サクラ、サクラ―の童謡を口ずさみたくなる思い切った紙面づくりに拍手。心身ともに暖かくなり元気もわく、自身の単純明快さに苦笑。これに呼応して桜だよりも。コロナ禍や内部のトラブルもあって、やまっていた長崎くんち。四年ぶりに奉納踊りが開催されます。新宮司に吉村政徳さん(七四)が就任、秋にはシャギリの音を聞くことに。吉村さんは上五島の神社宮司。筆者が島の支局長時代にお世話になった知人。長崎新聞に民間人だけのコラムコーナー「うず潮」の執筆陣にもお願いし、健筆をふるわれました。宮司を兼ね町教育長もやった多才の人。 「全身全霊で頑張りたい」と就任の弁。その昔、筆者も年男で節分祭の豆まきをしたこともあります。長崎市の〝守り神〟でもある諏訪神社のニュールネサンスに大きな期待をしています。忘れ桜ざのタイトル。この号が届くのは初夏。残雪の名残りの梅と言う風流心でなく春が来たという本質的な人間の喜びを伝え残したく、あえて忘れ桜ざにしました。くらくら四月中旬、突然、大学時代の学友・増田正庸さんから電話。「(長崎にいるので)広島に帰る途中に会いたい」。玄関先に白髪、温厚、顔色のいい好々爺が笑みを浮かべている。元プロ野球イチロー選手に似た面影はどこにもない。沈思黙考の囲碁が趣味。キャッチボールで遊んだ時、矢のような直球が胸元に食い込んでくる、手がしびれました。中学で投手か捕手をやっていたそうで…。それよりも下宿先にあった文学全集などの蔵書。どこに寝るのか。 「かなわん」と小説家になる夢が無残に散り、物書きの新聞記者になってしまいました。これらが走馬灯のように駆け巡る一瞬、ひと言、ふた言の数分、それでも長時間の錯覚。と、「そいじゃ」と手を挙げる彼にシェワルナゼ元ソ連外相以来の握手。今生の別れの思いがお互いわかるエール。 「忘れ桜ざ」のシメを飾る格好の舞台となりました。くら                       2忘れ桜ざくら著・三軒茶屋ニコみどりの風

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