こぶれ 2023年2月号
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              めり   2材ネ料タもないのに〆し切き時間が迫り強迫東京での現役記者時代の夢をよく見ます。観念にとりつかれ、もだえ冷汗が出るのではないか……でも記者は引退しているのだから、これは夢だという意識。ならばさめるはず……それを待つという余裕で、フトンの中で寝返りをうち〝夢〟をさまさせるコツも体得しました。新幹線もその一つでしたよ。西九州新幹線(武雄温泉―長崎)が昨秋開業、九州新幹線長崎ルート(博多―長崎)の整備計画決定から41年。長かったな。日本一短い新幹線ですがネ。平成2年ごろか。わが国政治の舞台―東京・永田町や中央官庁のある霞ヶ関は、予算編成時の暮れを目指し、6月ごろから整備新幹線をめぐる沿線各県の陳情攻勢が繰り広げられる。この時、日米構造協議の焦点になっている公共投資十カ年計画の中に遅々として進まない九州新幹線長崎ルートなど整備5線の建設予算を盛り込ませようと、一斉にスパートをかけました。 「これが最後のチャンス」とばかり当時の高田知事を先頭に県議会、沿線市長などが数度にわたり政府・自民党に大陳情攻勢。同ルートは昭和47年から運動を進め、備作業所設置まできたが、その後のメドは立っていない。県は従来のフル規格新幹線から時速130㌔どまりのミニ新幹線、スーパー特急など実現の方向をさぐる現実路線も検討中でした。総額四百兆円以上の公共投資十カ年計画は新幹線の〝神風〟とも言えます。が、計画決定から既に17年。県民の間には「実現できるのか」というあきらめムードやそれに代わる在来線の複線化要求も根強い。率直に言って改めて県民の理解を求めなくては〝一陣の風〟に終わりかねない、状況でした。その折、筆者を高田知事が都内あちこちを探し回り、緊急のお願いごと。 ―なにごと……? 首脳が新幹線で記者会見をすることが決まりました。で「なが……長崎新幹線建設のことをたずねて欲しい」とのこと。普段はソフトで冷静な知事にしては言葉ぎこちなく、必死の様相でしたネ。その通りのことを記者会見でたずねると、党幹事長でしたか、「建設に全力を尽くす」と。 「ありがとう」と高田知事からは厚いお礼と握手をいただいた。舞台裏でのひとコマになりました。その知事も逝去。日本一短い新幹線であるが、武雄温泉と長崎を結ぶ、最高時速は260㌔。このスピードを高田さんにも体感してもらいたかったなぁ。さすがに260㌔のスピードにうなされる夢は、まだみておりません。緊急に自民党走れ走れ新幹線著・三軒茶屋ニコ60年、候補ルート内定、62年、着工準みどりの風

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