「月兎の図」は丸い円(月)で二羽の十二支のエト。子供の頃は「あといくつ寝ると〽お正月」と楽しみに待っていましたが、年を重ねるにつれ、なんとなくせわしく「またか」でもないが、本人のエトでない限り関心も薄れています。ウサギ年も六、七回迎えたような気がしますが、中国の漢代にあった石刻ウサギが石ウスで餅をついている構図が印象にあり、これを真っ先に思い出します。月にウサギが住んでいるという伝説は、中国や蒙古に始まり、梵語で月をサシンとかササンというのはウサギを意味します。日本でも月の神をまつる神社では、ウサギが神使いとなります。満月を〝望月〟といい、ウサギは餅をつきます。中国では月を玉兎といってウサギは菜をつくといっています。月兎の図では餅でなく菜をついているのか、二羽のウサギの跳ね方にダンスをしているような気がしたのは、これなのかな。ついでにウサギは一頭、二頭とか一匹、二匹でなく、鳥と同じように何羽と数えます。江戸時代にイノシシをヤマクジラといって食したようにウサギを〝ウ〟と〝サギ〟で鳥の仲間だといいくるめたのでしょうな。新年ともなれば、まず開運。正直に告白しますと、昨年末、36年に一度の金運奇跡の年に愛用していた財布がボロボロ。 「五黄の寅年」の名残りと縁起をかついで「金き運う馬う九く行い久く財さ布ふ」を購入いたしました。熊本県にある「宝ほ木ぎ宝ほ木ぎ神社」のご祈き祷とつきですよ。なんや「いい年しておめでたい人」と他人からやゆされるのを覚悟でやりました。実はこれが大切なのですが、好奇心からです。金運財布からウサギ年の金運が開運につながるか、原始的な考えです。先の見えない人生に好奇心が大切な気がします。バクチではない。それなりの根拠はあるのでは……と言い聞かせています。運というものは寝て待っていたら永久に見向きもしない。戦国時代の勇猛だけでない名武将の生き方を見ますと、科学的・実証的な性格それにプログマティズム(実用主義)が相当な開運につながっています。筆者にはとうていムリ。今できる開運のきっかけは、やはり好奇心。新聞記者という仕事をやって来て、これまでに社外の人からたずねられ、平凡な講演にも使わせていただきました。 「記者にとって大切なことは―」。自慢やおごりでなく体にしみついたものです。これでスクープもいただきました。人、物などすべてのことに好奇心を持てば、開運につながると勘かがあります。ウサギ年も「好奇心」を背負って楽しいスタートです。読者のみなさまのご多幸それに開運を祈っておめでた話の初書きといたします。ウサギ年雑感 ん うんまんい 2著・三軒茶屋ニコみどりの風
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