こぶれ2022年9月号
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   そ       ぐ         わ    2梅雨明け宣言後、本県をはじめ九州さらに日本各地で線状降水帯が相次いで発生。河川の増水や崖崩れなど起きています。裏庭の黄色い山吹の花と大雨をながめていたら、佐世保の住吉神社の筑紫舞を思い出しました。日時は忘却。取材帳、日記でわかるが、探すのが面倒。このまま幻の舞としますか。古代史の魅力は、隠された未知との出合いにあります。それが素朴な好奇心をかき立てます。ついでながら考古学とは、古代のクズ、老廃物を見つけ研究すること。テレビの旅番組でそう語っていたキャスターの言葉。食物も体に入れ、老廃物しか残りません。これを精査し研究する学問。舞は文化そのものでしょう。純粋なものです。わが国の舞踏の起こりは、天鈿女命(あまのうずめのみこと)の岩戸舞。筑紫舞は「続日本紀」に初見されます。その後、歴史の表舞台から姿が消えます。が、福岡市の西山村光寿斉さんを宗家とする一門によって現代に復活したのを新聞の文化・芸能欄で知りました。この舞は諸国を漂白した傀くつ儡に伝承されたというのが通説。人形を使う手傀儡や船で各地を芸能して回る集団。独自のネットワークで、ひそかに舞の命脈をつないで来た、そうです。その謎に包まれたルーツを探るのもミステリ的で興味津々。傀儡の芸だけではなく古代九州王朝の流舞のひとつ、か。さらに舞の振りの呂るん宋足からルソン島(フィリピン)とスペインの絡みも見逃せない。そこにフラメンコ舞踏の影響があるなど学術的要素も出て興味は尽きません。これらの話を耳学問で仕入れ、古代舞との出合いにのぞみました。光寿斉さんらの「季の奏上、四季」などに見入った記憶が鮮明です。まず風格がありました。振りと動作に合致した息遣いが伝わってきます。琴や石い笛の調べとともに風の音、水の音に重なる奥深い舞、根深い芸で心よい疲れも。と、その舞を思い出した瞬間、雨も小降り。庭から部屋にもどり小思考。ウクライナ侵攻から世界中に食料危機が襲い、先が見えません。わが国の食料自給率も低く、他人事ではありません。自給率アップ政策ももとより、国民ひとり、ひとりが〝わが身〟のこととして行動を起こすべきでしょう。古代稲作文化の貴い伝統を軸にした瑞穂舞の創作も待たれます。農業振興の一助になればと願いつつ、です。幻の舞著・三軒茶屋ニコみどりの風

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