こぶれ 2022年8月号
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七十七年目の夏 「沖縄戦の図」に犠牲になった数え 「平和は怖いの反対なのかな」。なく八月九日は原爆忌。七十七年目の熱い夏がまたやって来ました。ウクライナ大侵攻にロシアが核を武器に使うかどうか。核兵器の脅威が浮き彫りとなり熱い夏に拍車をかけています。六月二十三日、沖縄戦終結七十七年。式典で平和の詩を朗読した小学二年の少女(七)がジーンと胸をうちました。少女は沖縄戦の絵を見たことをきっかけに暮らしの中にある平和の意味に気づきました。切れない住民たち。悲しそうに少女を見つめている同じ年ぐらいの子どもに、怖くなって思わず母にぴったりくっついて、ホッとした。したくないから「ポケットにいれてもっておく」と素直に表現しています。この朗読を数回テレビで拝聴。ふと                 2  原爆をテーマにしたアニメーションの名作「はだしのゲン」を思い出しました。原作者で劇作家の中沢啓治さん自身の被爆体験を基に、主人公のゲンが廃墟の広島で母と二人、懸命に生き抜く物語。これは昭和四十八年、少年雑誌に連載され、惨禍にめげず生命力にあふれたゲンと彼を取り巻く人間のつながりを描き、大きな感動を呼びました。一般層の心も広くつかみました。原爆文学に相当する作品との評価も。もちろんアニメも全国的な人気を得ました。 「はだしのゲン」の中沢さんに信念がある。 「反核の原点は家庭にある」と。最も身近な仲間が核の怖さを知り、一家で核をイヤだと言う。そして他の家族にもつながる。核の怖さを語り継ぐことです。糸満市の平和祈念広場での沖縄全戦没者追悼式での少女の朗読がよみがえります。姉とけんかし仲直りしたとき、友人とおしゃべりするとき。「あったかくなるのが平和かな」。核を非人道兵器として史上初めて違法化した核兵器禁止条約の第1回締結国会議が沖縄追悼式の日(六月二十三日)「核兵器の使用や核による脅しは国際法違反」と核なき世界の実現へ即時行動を呼びかけるオーストリアの「ウイーン宣言」と行動計画を採択し閉幕しました。本県からも被爆者の医師、雲仙市の宮田隆さんらも参加。大歓迎しましたが唯一の被爆国である自国政府からオブザーバー参加もなかったことに厳しい目を向けていました。そうそう薄れている記憶にアニメ「つるにのって」がありました。長崎ピースアニメの会などの協力で製作されたものでした。二人の少女が平和づるから変身したツルに乗って長崎市の平和公園や世界の紛争地域を訪れるというシンプルなストーリー。すがすがしい作品でした。沖縄で朗読詩を語った少女の心やゲンを乗せて今度はウクライナに飛んでほしい。著・三軒茶屋ニコみどりの風

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