こぶれ 2022年4月号
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                               2春の花、秋の月、冬の雪を表す「花、月、雪」は日本人が古来からなじんできた美意識の一つ。文化と言った方がわかりやすい。で花、紅梅のつぼみ赤らみ〽春よ来い裏庭にある紅梅の古木をながめているうちに五・七・五が並びました。あと七と七を加えれば短歌に。これは句心はあっても創作の言葉がわいてきません。脳力がなく肝心の体力がわいてきません。この紅梅にも言えそうで、ここ数年、つぼみも遅くなり色づきもスローです。加齢の古木、ムリは言えません。お互いさまですな。新聞、テレビでは国見神代小路のヒカンザクラ、五島奥浦、大村の久原公園の河津梅と連日、春の訪れをはやし立てています。天気情報では(今季二月中旬が)最強の寒波襲来とあり、寒さが身にしみます。で雪、2月17日は「スノームーン(雪月)」、2月の満月を指しています。これを名付けたのがアメリカの先住民族らしく合衆国の北東部周辺に住んでいたそうです。伝聞だとスノームーンの頃には寒さも一段落しているとか。日本では寒さのどん底なのにです。寒さにふるえながら早春の満月、風流を求めて探しますがどこにもいない。やはり冷たい。外から家に飛び込み、窓越しにチラチラする粉雪に目をこらし夜空を見るがムーンはいません。これまで月十五日を過ぎれば満月はいつも出ていたが、今夜はグズグズしているようで……。「風か邪ぜをひくからやめときなさい」という満月さんのいたわりかも。で花、穏やかな日差しにつつまれ、さわやかな風が花びらを運び、暖かい春の訪れを感じさせてくれる陽気が待ち遠しい。春には新たな輝きがあり、心も新たにしてくれるものです。表も裏も花があってのこと。春は毎年、やって来ます。最近10歳から30歳の記憶が他の年代よりも記憶に残っている割合が高い、高齢者を対象にした医学的研究で判明しています。ことに10代「自分は一体なにものなんだ」という自己形成の時期と重なるからでしょう。ハッと寒さに気づくと、こんなことをスノームーンを探すうちに考えていました。 「花、月、雪」と美意識の文化までは格好よかったが、寒さでダウン。やはり地が出たようです。やれやれ。庭の紅梅の古木と同様で「春遠からじ」でなく「去さって行っている」ようです。     嗚あ呼あ。花・月・雪著・三軒茶屋ニコみどりの風

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