みどりの風著・三軒茶屋ニコ 八月九日は原爆忌。七十六年目の熱い日がまたやって来ました。 長崎市長が平和記念式典で読み上げる平和へのメッセージ。起草委員会が三回ほどの会合でまとめた被爆地長崎が発信する平和と核廃絶の熱い訴え。 米政府だけでなく関心を寄せている世界中が注目するようになりました。 私事ながら筆者も長い間、起草委員をしていたので毎年、深い関心をもっています。 内容的に深まりをみせたのが、本島等長崎市長の時代。 長崎市内の労組団体の主催で一九九六年春。「ポスト被爆五十年」のパネルディスカッションが大きなきっかけの一つではと思います。 本島市長をはじめ山田拓民・長崎原爆被災協事務局長、山川剛小学校教諭、平和学習部の高校生、マスコミ代表で筆者、コーディネーターに津田勉・元国連ユニセフ駐日副代表など多彩なメンバーがそろっていました。 記憶にあるのが、 本島市長が「原爆、戦争からは逃げられない」と力説、外国人被爆者の援護問題を初めて取り上げ、戦時中の日本の加害責任を指摘。その後、国際社会に発展させるものになりました。 が、七十六年目を迎えても〝牛歩〟と言う言葉が適切か。核兵器廃絶の道のりは極めて険しい。 肝心の日本政府が核兵器禁止条約に背を向けているのが大きな壁になっています。 こんな情勢の中で、いつか被爆者がいなくなる。そんなに遠くない日です。 その日のために被爆二世だけでなく国民ひとり、ひとりが原爆を語り継ぎ、継承することしかないようです。 最近いいニュースを知りました。 吉本興業のお笑い芸人「アップダウン」の阿部浩貴さん(四四)と竹森巧さん(四三)が原爆をテーマにした漫才を作り上げ、初公演を八月上旬に予定しています。 昨年夏、長崎市の被爆二世団体から依頼を受け、被爆体験を取材。「被爆の実相や原爆が人々の心に残した傷などを表現、長崎から新しい形で原爆や平和を発信したい」と初公演に意欲満々。 これまで長崎市出身で被爆した作家・林京子。被爆体験を赤裸々に描いた「祭りの場」で昭和五十年芥川賞。 それ以来、林はひたすら「原体験」を作品化しています。 新劇界の重鎮だった劇作家、田中千ち禾か夫おの長崎を舞台にした「マリアの首」など原爆をテーマにした原爆作品はあったが、漫才は初めての試み。 新しい人たちによるニュージャンルで平和と反原爆の流れ、被爆八十年に向けて大きな原動力になって欲しいものです。被爆七十六年目の夏2
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