こぶれ2019年8月号
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みどりの風著・三軒茶屋ニコ 干天の慈雨という言葉が似合う梅雨入りが6月下旬。 ほぼ半世紀ぶりに最遅、平年より21日遅かった、という。 以来、雨が多く外出もままならぬ。筆者の対応策、ラジオ深夜便で聞きのがしたゲーテ研究などで知られているドイツ文学者でエッセイストの池いけ内うち紀おさむさん(78歳)の深夜便を収録した7月号「楽しく老いる秘ひ訣けつ」を再読しました。 外の雨の音も忘れるほど。 わが身におぼえがあるだけに親近感を持ち、池内さんが観察した老いの兆候、楽しく老いる秘訣に拍手かっさいです。 「年寄りくさいのはイヤだ」と、若者風の装いを意識している方もいるでしょうが、そうした老いに逆さからうこと自体が老いの印しるし。 老いるとまずカタカナ語についていけない。洋服の「ベスト」を「チョッキ」と言ってみたりテレビのキャスターを「司会者」とか。 これが言葉に疎うとくなり、周囲がなじみのない世界になっていく。 それは悲しいけれど老人の宿命なんです。 若いころより元同僚、同窓生など共通点があり、話が通じやすい元がつく仲間と群むれる特性があります。 圧巻は、老いの観察をもとに「老化早見表」をお作りになった。 まず老いの初歩、失名症(人の顔はわかっても名前が出てこない)、同一志向症(自分の決めた所以外に物を置かれると不愉快になる)、一時的記憶脱落症(一時的に記憶が脱落する)、せかせか症(常にせかせかしている)、横取り症(人の話を横取りする)。 次いで悲しいかな老化が進行中。 年齢執着症(年齢に執着する)、失語症(失名症の進行形。言葉自体が出てこない)、指さし図ず分裂症(人に指図したがる、人から指図されたくない)、ベラベラ症(ベラベラ話すうちに何の話か忘れる)。 そして老化の極み! 忘却居こ士じ。 忘却忘却症(忘れたことを忘れてしまう。病の兆候?)――とてもわかりやすく脱帽です。 池内さんは、この年まで生きてきたので病にかかっても手術をしたり、治療のため薬を飲んで治すことはせず、共生する生き方を考えています。 最期は風がふっと吹いてやむがごとく、風のようにいなくなりたい、と。 「皆さんさようなら」というひと言だけを残してね。池内さんさすがです。 筆者は気が弱く小心者なので忘却居士はムリ。慎重居こ士じで逃げまどうことか。 まだまだ雨が続くようなら、池内さんがおしゃれ、おいしいもの、お金、病と死についてなど老いを紹介しながら人生100年時代をどう生きるかにヒントを与えてくれる「すごいトシヨリ BOOK――トシをとると楽しみがふえる」(毎日新聞社版)を最近、出したそうです。 本屋に出かけて買い、梅雨明けを待ちますか。梅雨に思い考えること2

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